歯が抜けてしまったら?

1番初めにダメになる(抜ける)歯として、最も多いのが、奥から2番目の歯、いわゆる「6才臼歯」と呼ばれる奥歯です。この歯は名前の通り、6才の頃から生え始める1番最初の永久歯なので、他の永久歯よりも厳しい環境におかれ、最も虫歯になり易いのです。また、奥歯なので磨きづらく、咬みあわせによる強い力も受けるので、歯周病にもなり易くなってしまうのです。

そこでこの6才臼歯が抜けた場合を例にとって考えてみると、以下の4つの方法が考えられます。

  1. 抜けたまま放っておく
  2. 両隣の歯を削って、ブリッジを入れる
  3. 部分入れ歯を入れる
  4. インプラントを入れる

1、歯が抜けたまま放っておく

1本くらい歯が無くても、今まで通り食事も出来るし、それに奥歯だから見えないし平気?

放置している間に、今まで咬み合っていた歯が、咬む相手を探して伸びてきたり、周囲の歯が歯周病や虫歯になりやすくなります。
次は隣の歯が犠牲に・・・??

2、両隣の歯を削って、ブリッジを入れる

ブリッジは固定式なので、取り外したり、装置を洗ったりする手間はかかりません。違和感が少ないのも利点です。
しかし両隣の歯がないと出来ないので、一番奥の歯がない場合は出来ません。そして両側の健康な歯を少なからず削らなくてはならないという欠点があるのです。
今まで3本の歯で負担してきたことを、今度は2本の歯で負担することになります。それだけ支えている歯には大きな負担がかかっているのです。

3、部分入れ歯を入れる

入れ歯には人工の異物ですから、補う歯の本数が多くなる程、口の中に違和感が出てきます。
口の中の感覚は非常に繊細で、髪の毛1本でも、口の中に入っていると違和感を感じます。
また、部分入れ歯の場合、両サイドにバネのようなものをかけて、入れ歯を固定します。バネをかけられた歯は上下左右に揺さぶられ続けます。長い時間をかけて揺さぶられると、バネをかけられた歯が抜けてしまう事になるのです。
するとその分、部分入れ歯を大きくして、次の歯にバネをかけ…ということを繰り返し、着実に総入れ歯に近付いてしまうのです。

また、入れ歯は取り外し式なので、キレイにする為に毎日手入れをしなくてはなりません。
更に咬む力が弱くなるため、固い物や粘りのある食べ物が食べづらくなります。
歯がある時には当たり前だった事が、入れ歯になると出来なくなり、美味しい物を自分の歯で美味しく食べる事が、如何に素晴しい事か分かるのです。

4、インプラントを入れる

インプラントとは、抜けた歯の変わりに金属製(チタン)の人工の歯の根を、顎の中に直接埋め込んで、その上にかぶせものをする治療法です。
インプラントの利点は、ブリッジと入れ歯の欠点がない事です。
インプラントは自分の歯と同じように顎の骨で支えられている為、他の歯に負担をかけたり、違和感が出たりすることがありません。

更に咬んだ時の接触(咬み応え)が自分の歯に限りなく近い感覚になるのです。
認知度の上がってきているインプラントですが、まだまだ間違ったイメージを持たれている方も多いようです。

■「手術が怖い」というイメージ

実際には親知らずを抜くような手術ですので、痛みも親知らずを抜いた時と同程度と考えて下さい。

■「インプラントは高い」というイメージ

確かに保険で作る事が出来る入れ歯やブリッジに比べれば高いです。しかし、他の歯に負担をかけずに、自分の歯に限りなく近い歯を取り戻せるとしたらどうですか?
美味しい物を美味しく食べられ、健康で毎日の生活が豊かに過ごせるなら・・・。

  • 歯を抜く場合と同様の手術が必要である事
  • 全身疾患(重度の糖尿病など)やインプラントを埋め込む場所(顎)の骨が少ない場合など、ケースによっては治療できない場合もある事

インプラントに多くの利点があるといっても、基本にあるのは「歯を失わないようにする為の予防歯科」であり、インプラントは予防歯科にとって、残念ながら失ってしまった歯を補う必要不可欠な治療のひとつとして捉えています。
インプラントについて、何か不安や疑問がありましたら、是非ご相談下さい。